回避型愛着スタイルの特徴を9つ見ていきます。
どの程度当てはまるかは、人それぞれ異なると思います。
親密な人間関係を避ける
人と親密に関わることを重荷に感じ、距離を置こうとします。
例えば、
- 遊びや飲み会に誘われても、ほとんど行かない
- 人からのサポートやアドバイスを受け入れるのが苦手
- 困った時は、人に助けを求めるよりも、1人になりたがる
- 人に甘えたり、弱音を吐いたりすることが苦手
- 好意を示されても、素っ気ない態度を取る
- 親密な関係になったとしても、性的な関わりは避けようとする
などです。
他の人との付き合いができないわけではありませんが、基本的に1人で行動することが多いです。
学校や職場などで仲の良い人がいても、卒業や転職などで顔を合わせる機会が減ると、交友も途絶えがちになります。
更に密な関係、人と交際をしたり、結婚をしたり、結婚して子供を育んだりする意欲に乏しく、独身傾向にあります。
つまり、他者に対する持続的な責任や、束縛を避けようとするところがあります。
自己開示(自分の気持ちや意見を話すこと)が苦手
大人から共感的な応答を受けて育った人間は、感情をありのままに表現することができます。
しかし大人から無視をされたり、否定をされたり、大人の意見を押し付けられたりして育つと、自己開示をすることが難しくなってしまいます。
そのため、自分の話をしようとすると、
- 無意識のうちに、抑え込んでしまおうとする
- 極度に緊張してしまう
- 言葉がうまく出てこなくなってしまう
などの症状が出る場合があります。
また、話を振られても、すぐに返すことが苦手です。
なぜなら、相手の発言の意図から逆算をして、適切な表現は何かを探し、言葉を組み立ててから発言するので、時間がかかるためです。
人を頼らず、人から頼られるのも苦手
回避型愛着スタイルのベースは、回避型の愛着パターン(「子供の愛着パターン4分類」の回避型を参照)です。
幼少期から、ストレスを感じても、人に助けを求めることが苦手な傾向にあります。
なぜなら、幼少期にストレスを感じて大人を頼っても、あまり応答してもらえず、傷ついた過去があるからです。
そのため、
- 「人は頼りにならない」
- 「自分は他の人に助けてもらえなくて、1人で何とかしていた」
- 「自分のことは自分で何とかして」
といった信念が形成されており、人を頼ることも、人から頼られることも苦手です。
現状を維持しようとする
幼少期に安全基地が作用せず(「愛着対象と安全基地」参照)、安心して探索活動ができなかった結果、積極的に行動しようという意欲が乏しく、無気力、無関心、投げやりになりがちです。
そのため、
- 新しいことにチャレンジすることが苦手
- チャンスを掴みづらい
という傾向があります。
意欲は、内面と外界からの刺激が合わさって生まれるため、外界からの刺激が少ないと、意欲も乏しくなってしまいます。
つまり、外から刺激を受けることで、内面から行動する意欲が生まれるということです。
例えば、
- 内面:京都旅行へ行きたいと思っている
→内面で意識していると、自分から情報を集めようとする↓
- 外からの刺激:本屋で京都のガイドブックを見る、テレビで京都観光の放送を見る、など
→外からの刺激を受けて、行動する意欲が湧いてくる↓
- 内面:京都旅行へ行こうと決め、行動を始める
などです。
現状を変化させようと思った時は、それなりの意欲が必要になりますが、回避型の人は意欲が低いため、現状に不満や問題があっても変えようとせず、耐えてしまいがちです。
それに耐えられなくなってくると、不眠や食欲不振などの身体症状となって表れる場合があります。
失敗を恐れる
意欲の低さは、目的に向かって努力することを避ける傾向につながります。
そのため、目的の実現に向けて動いても、
- やっている途中で、「これは難しいな」と困難を感じる
- 「○○さんの了承が得られないと…」と障害を感じる
などの場面で、諦めてしまう場合があります。
失敗して傷つくよりも、余計なことはしないようにしようという行動パターンになりがちです。
責任から逃れようとする
一般的には喜ばしい出来事も、苦痛に感じてしまう場合があります。
- 就職する
- 昇進する
- 結婚する
- 子供が生まれる
こうした出来事や成功のチャンスでさえも、責任や負担が増えることだと捉えてしまいます。
失敗を恐れたり、期待に応えられなかったらどうしようというプレッシャーを感じたりすることがあり、そこから逃れようとする傾向があります。
自分の欲求や感情を抑える
自分の欲求や感情を抑えがちです。
- クールでドライな印象を与えることが多い
- 本気で熱くなる場面は少ない
- 他の人から何を考えているのかわからないと思われることがある
これらは、幼少期に求めても応答してもらえず放っておかれたり、泣いても誰も助けてくれなかったりすることを繰り返す中で、欲求や感情は表に出すだけ無駄だと感じ、それ以上傷つかないように諦めてしまった結果といえます。
そして、一番傷つかずに済む方法が、何も求めない、何も感じないことだと思ってしまったのです。
この傾向が進むと、自分を抑えることが日常となり、自分でも自分のことがよくわからなくなってきます。
ただ、感情に振り回されず、冷静な判断ができるという一面もあるため、そうした能力が求められる場面では役に立つこともあります。
他者に対する共感や思いやりに欠ける
幼少期に、求めたら応えてもらえる応答を重ねることで、共感性が育ちますが、回避型スタイルの人は、共感された経験が乏しいため、相手の立場になって考えることが苦手です。
そのため、相手に共感し、思いやりのある言動を取ることが難しい場面があります。
そうした配慮を求められると、却って重荷になり、求められていることとは逆の、自分が思ったことをそのまま発言してしまったり、相手を避けてしまったりします。
更に、自分の配慮がない言動に相手が傷ついても、気が付かないことがあります。
これは、共感性のある応答の経験不足が原因です。
そうなると、
- 人付き合い
- 育児
- ペットの世話
などが苦手である可能性があります。
攻撃的、防衛的な態度を取ることがある
相手を求めても応えてもらえなかった幼少期の経験から、成長しても、愛着した人を失うくらいなら、最初から親密な関係にならなければいいというのが回避型の傾向です。
それに加えて、相手に愛着したら、支配されてしまうかもしれない、依存してしまうかもしれないといった恐れから、あえて反対の、
- 相手の欠点を探す
- 相手を見下すような態度を取る
- 誰の助けも必要としないような振る舞いをする
- 他人を寄せ付けない
- 傲慢な態度を取る
- 無関心を装う
などの言動を取ったりすることがあります。
また、相手を利用価値があるかないかで判断するところがあり、自分にとって有益な時は付き合うけれど、無益になったら離れることもあります。
参考文献
3冊あります↓
マンガの方が読みやすい方はこちら↓
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