愛着障害の人は、全体より部分にとらわれやすい傾向がある
ある日、恋人同士がこんな会話をしていました。
ねぇ、日曜日は映画館に行こうよ。
日曜日かぁ…。友達と遊ぶ約束をしちゃったんだよね。
また今度行こう。
えっ、それなら何でもっと早く言ってくれないの?
私、会えると思って楽しみにしてたのに!
えっ、日曜日に会う約束してなかったよね?
もういい!私より友達の方が大事なのね!キライ!
相手が自分の思った通りに応じてくれないと全否定してしまう、愛着障害の人にはそのような傾向があります。
幼少期に共感を持って接してもらう経験が不足していると、共感性が育たない
このような関係を、オーストリアの精神分析家であるメラニー・クラインは、「部分対象関係」と呼びました。部分にとらわれやすい理由としては、幼少期に共感を持って接してもらう経験が不足していた結果、相手の立場になって相手の気持ちを考えることが難しいからだとされています。つまり、愛着が成立していないということです。
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恋人同士の会話の例で言えば、男性が友達との約束を優先するからといって、友達の方が大事かどうかはわかりません。今まで一緒に過ごしてきた中で、女性の方を優先させた時もあったかもしれません。しかし、そうしたそれまでの関係性を振り返ることなく、女性は瞬間的な不快感にとらわれてしまい、その衝動のままに男性を全否定してしまいました。
このように、愛着障害の人は、環境由来で共感性が未発達な傾向にあります。
全体より部分にとらわれやすい傾向を改善する例
共感性に乏しいのであれば、その分コミュニケーションを重ねたり、自分の認知を振り返ってみたりする作業を重ねてみると、徐々に改善していくかもしれません。
共感性が未発達なため、相手の気持ちがわからない
相手の気持ちを聞いてみると、自分が思っていたことと違った、という場合も少なくありません。共感性が乏しい以上、まずは相手の気持ちを確かめてみることをおすすめします。
相手との対話を重ねて、相手の気持ちを知ろうとする
「あなたは~」で始めると、相手は責められているように感じるかもしれません。例えば、「私は日曜日にあなたと会えると思っていたから寂しい」など、自分の気持ちを相手に伝えます。
- 「それって本当?」
- 「いつもそう?」
- 「今まではどうだった?」
つい、部分にとらわれやすい傾向を修正します。イメージとしては、瞬間的に沸騰した自分の気持ちに、水をかけるような感じです。
まとめ
- 愛着障害の人は、全体より部分にとらわれやすい傾向がある
- 幼少期に共感を持って接してもらう経験が不足していると、共感性が育たない
- 相手の気持ちを聞く
- 「私は~と思った」と自分の気持ちを伝える
- 瞬間的に湧いた気持ちに自問する
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