もし、病気やケガで休職をしたら、会社からお給料がもらえなくなる…。
休職期間中は、どうやって生活していけばいいの?
そんな時に活用するのが、傷病手当金制度です。
私はうつ病で休職したため、加入している健康保険組合に、傷病手当金を申請しました。
今回は、申請から交付されるまでの流れをお伝えします。
傷病手当金とは
傷病手当金は、被保険者が病気やケガで働けない場合に、加入している健康保険組合から支給される手当金です。支給要件を満たした状態で申請をすると、被保険者の仕事内容、病気やケガの症状、医師の意見等をもとに総合的に判断され、審査を通過すると支給されます。
- 自営業者など、国民健康保険に加入している人は対象外(一部の国民健康保険組合では支給あり)
- 任意継続被保険者は、対象外(健康保険法第104条による継続給付の要件を満たしている人は除く)
- 雇用保険の失業給付を受けられる状態(=仕事に就ける状態)の人は対象外
自分で申請の手続きをしないと支給されないので、準備が必要です。
4つの支給条件
傷病手当金は、次の4条件を全て満たすと支給されます。
- 業務上・通勤中の災害などによるものは、労災保険の給付対象となり、対象外
- 医療機関等を受診せずに自身の判断で仕事を休んでいる時は対象外
- 病気と見なされないもの(美容整形など)は対象外
申請書に主治医の記入欄があるので、その記述等を基に判断される(月1回以上の受診が必要)
- 例①:仕事に1日出勤した後、3日間連続して休むと待期期間が完成し、翌日から傷病手当金を申請できる(例えば、4月1日に出勤して、4月2~4日の3日間は欠勤すると、4月5日~傷病手当金の支給期間となる)
- 例②:3日間連続して休むと待期期間が完成し、その後2日出勤すると、翌日から傷病手当金を申請できる(例えば、10月10~12日の3日間は欠勤して、10月13~14日は出勤すると、10月15日~傷病手当金の支給期間となる)
ただし、給与の支払い(例:有給休暇など)があっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給される
支給される金額
支給額の計算式を使って算出します。
1日当たりの金額:【支給開始日以前の12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
標準報酬月額というのは、給与明細に記載があるので、確認してみてください。
上記の計算式をおおまかに説明すると、今まで支給されていた給与の約66%になります。
計算式を基に傷病手当金が支給された後、会社から社会保険料等が引かれ、残りが手元に入ってくるお金になります。
つまり、実際に受け取れる傷病手当金の金額は、今までの給与の60%より少ないくらいだと思っていた方がいいです。
傷病手当金が調整される場合
下記にあてはまる場合、傷病手当金の支給額の一部または全部が調整されます。
- 同じ病気やケガで上記を受けている場合、傷病手当金は支給されない(ただし、傷病手当金の方が多い場合は、差額が支給される)
- 障害手当金の場合は、傷病手当金の合計額が障害手当金の額に達する日まで、傷病手当金は支給されない
労災保険から休業補償給付を受けている場合、傷病手当金は支給されない(ただし、傷病手当金の方が多い場合は、差額が支給される)
出産手当金が支給されている場合は、傷病手当金は支給されない(ただし、傷病手当金の方が多い場合は、差額が支給される)
それぞれの支給開始日や支給金額を計算した後、多い方が支払われる(ただし、別の傷病でも関連性があると判断される場合には、最初の傷病手当金のみが支払われる)
支給される期間
病気やケガで休んだ期間のうち、最初の3日間(待期期間)を除き、4日目から支給される
- 支給開始日が令和2年7月2日以降:支給開始日から通算して1年6ヵ月(途中で復職した期間は、期間算定の対象外)
- 支給開始日が令和2年7月1日以前:支給開始日から最長1年6ヵ月(途中で復職した期間も算定される)
申請をしてから、支給されるまでの期間
健康保険組合や会社によって差があるようですが、大体、2週間~3か月程度かかるとされています。
私は、審査を経て傷病手当金の支給金額が決まった後、会社から社会保険料を引かれて、残りが口座に振り込まれるまで、約2か月かかりました。
下記がスケジュール例です。
- 令和4年1月15日から休職、15日~17日まで3日連続して休み、待期期間が完成
- 令和4年1月18日から傷病手当支給期間に突入
- 令和4年2月に入ってから、主治医に診断書を記入してもらい、会社へ申請書を送付
- 令和4年3月末くらいに、1月分の傷病手当金支給金額が決定し、そこから社会保険料を引かれた残りの額が、会社から給与受取口座に振り込まれる
そのため、休職してから最初の2か月程度は無収入となり、日々の生活費や通院代は、貯金から支払っていました。
こうした出来事に備えて、日頃から生活防衛資金(生活費の6か月程度)を準備しておくことをおすすめします
申請のタイミング
申請のタイミングは、大きく2つあります
- 翌月に入ったら、前月の傷病手当金申請書を提出し、1か月ごとに受け取る(例:2月に入ったら、1月分の傷病手当金申請書を提出する)
- メリット:給与の代わりに、毎月の生活費を得られる
- デメリット:1か月ごとの申請のため、手間がかかる
- 休職期間終了後に、まとめて受け取る
- メリット:申請が1回で済むので、手間が少ない
- デメリット:休職期間中にかかる生活費などは、貯金などで負担する
貯金があるか、生活費を負担してくれる家族がいるか、健康保険組合の方針はどうか(1か月ごとに提出と書いてある組合もある)など、諸々確認をしながら検討してみてください。
ただし、申請書の提出期限は、2年で時効となります。
支給適用日から2年経過すると、1日ごとに失効となり、傷病手当金を受け取れる権利がなくなっていくので、申請は早めに行いましょう。
申請方法
手順を説明します。
- 「加入している健康保険組合名 傷病手当金申請書」で検索し、申請書を印刷する
- 「被保険者が記入するところ」の欄を記入する
- 受診先で、先生に「療養を担当した医師が意見を書くところ」へ記入をお願いする
- 「事業主が証明するところ」は会社が記入してくれるので、未記入で提出する
申請書のページに記入例が掲載されていることもあるので、参考にしてみてください。
コメント