自立支援医療制度の対象者
自立支援医療は3種類ある
- 精神通院医療(精神疾患があり、通院による精神医療を継続的に必要とする人)
- 更生医療(18歳以上で、身体障害者手帳の交付を受けている人)
- 育成医療(18歳未満で、身体障害がある子供)
ここでは、精神通院医療について紹介していきます。
自立支援医療(精神通院医療)制度とは
自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患の治療に掛かる医療費の自己負担額を軽減する、公的な制度です。
この制度は、申請時に医療機関を1つ、薬局を2つまで指定します。
上記で指定した3か所では、精神通院の自己負担額が、通常の3割から、原則1割に軽減される
生活保護の人は、自己負担分はありません。
また、世帯所得や治療内容に応じて、1か月の自己負担額に上限があります。
原則として、上限に達した場合、その後の自己負担はありません(全額公費負担となります)。
世帯所得が一定以上の人は、公費負担の対象外となり、3割負担のままになります。
対象となる医療
- 対象:医療保険の適用になる精神通院(通院、デイケア、訪問看護など)
- 対象外:精神入院、精神医療に関係のない通院
つまり、受給者証に記載された病院と、そこの処方箋のみが公費負担の対象となります。
自己負担額
自立支援医療の自己負担額は、本人もしくは属する「世帯」の収入等に応じて5つの区分があり、負担上限の月額が設定されている
自立支援医療制度における「世帯」とは、医療保険単位の認定になります。
例えば、異なる医療保険に加入している家族は、別の「世帯」になります。
受診者本人が18歳未満の場合には、保護者の収入で判断します。
0円(自己負担はありません)
- 区市町村民税非課税世帯で、本人又は保護者の収入が年80万円以下
- 自己負担割合は1割
- 自己負担上限は月額2,500円
- 区市町村民税非課税世帯で、本人又は保護者の収入が年80万円以上
- 自己負担割合は1割
- 自己負担上限は月額5,000円
- 区市町村民税課税世帯で、納税額が3万3千円未満
- 自己負担割合は1割
- 「重度かつ継続」に該当する場合には、自己負担上限は月額5,000円
- 区市町村民税課税世帯で、納税額が3万3千円~23万5千円未満
- 自己負担割合は1割
- 「重度かつ継続」に該当する場合には、自己負担上限は月額10,000円
- 区市町村民税課税世帯で、納税額が23万5千円以上
- 自己負担割合は3割(自立支援医療の対象外)
- 「重度かつ継続」に該当する場合には、自己負担割合は1割、自己負担上限は月額20,000円
「重度かつ継続」(高額治療継続者)とは
継続的に治療を必要とし、高額の医療費負担が発生すると認められると、経済的負担の軽減のため、毎月の自己負担額に上限が設定される
「重度かつ継続」の範囲は、以下のどれかに該当した場合です。
過去12か月間以内に、高額療養費の支給が複数回(自治体によって異なるようなので、要確認)あった場合
統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)など
3年以上の精神医療の経験を有する医師により、以下の症状を示す精神障害のため計画的集中的な通院医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む)を継続的に要すると診断され、認定を受けた人
- 情動及び行動の障害
- 不安及び不穏状態
申請に必要なもの
申請に必要なものは、以下の通りです。
- 申請書
- マイナンバーカード(申請書にマイナンバー記載欄あり)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等)
- 診断書(精神障害者保健福祉手帳の新規・更新申請と同時に、精神障害者保健福祉手帳用の診断書で手続きをすると、提出を省略できる場合あり。詳細はこちら)
- 健康保険証(受診者本人のもの)
- 指定したい病院・薬局等がわかるもの(診察券、お薬袋等)
- 世帯所得を確認できる書類(市民税課税証明書の原本など。自治体ごとに要確認)
申請書と診断書の入手方法
申請書と診断書は、自治体によって入手方法が複数ある
自治体によっては、所定の窓口で配布している所もあったり、ホームページでExcelやPDF形式で配布されており、ダウンロードして印刷できる所もあったりします。
「自立支援医療 東京」など、居住地名を入れて検索をして、申請書と診断書の入手方法を確認する
各書類の提出方法
自治体によって、窓口へ提出する方法と、郵送で提出する方法がある
お住まいの自治体の方法と、窓口であればどこが対応しているのかを確認してみてください。
受給者証の交付
各書類を提出後、1か月半くらいで、自宅に受給者証が郵送されてきました。
私の疾患はうつ病で、「重度かつ継続」に該当するため、自己負担上限額管理表も一緒に送られてきました。
自己負担上限額管理表
毎月の自己負担上限額が設定されている人には、受給者証と一緒に自己負担上限額管理票が発行されます。
指定した医療機関を受診する時と、指定した薬局で薬をもらう時は、窓口に受給者証と管理表を提出しましょう
自己負担上限額管理票を提出すると、その月の自己負担額を、病院と薬局の人が記入してくれます。
月額の上限に達した場合は、それ以降その月にかかる自己負担は免除になります。
そのため、通院の際は忘れずに持って行くことが大事です。
私は、市販のケースに、
- 自立支援医療受給者証
- 自己負担上限額管理表
- 病院の診察券
- 保険証
- お薬手帳
をまとめてセットして、通院日はケースを忘れずに持って行きます。
例えばこんな感じで、複数ポケットがあるものがおすすめです↓
自己負担額の一部払い戻し
受給者証発行のタイミングによっては、申請後に通院した日の医療費と薬代の3割負担が、1割負担に払い戻しできる場合があります。
例えば、
- 受給者証申請日:8月1日
- 通院:9月7日(受給者証未発行のため、窓口では3割負担)
- 受給者証到着:9月10日
- 通院:9月21日
だった場合、受給者証の有効期間は、申請日の8月1日~となっています。
そのため、公費対象外の区分の人を除き、9月21日に9月7日の病院と薬局の領収書を持参して、受給者証を提出すると、3割負担が1割負担に変更され、2割分を払い戻してもらえます。
受給者証が届いたら、有効期間以降の通院で3割負担になっている領収書を、病院や薬局に持参して、「受給者証が届いたのですが、払い戻しできますか?」と確認してみる
あとは病院の方、薬局の方が対応してくれます。
病院や薬局の領収書はすぐに処分せずに、一定期間保管しておいてください
受給者証の有効期限及び更新
受給者証の有効期間は、申請受理日から1年間(1年後の月末まで)で、更新を希望する場合は、更新申請の手続を行う必要があります。
受給者証の有効期間:令和4年8月1日に申請受理→令和5年7月31日に失効
有効期限の3か月前から、更新申請を行うことができます。
受給者証の更新申請:令和4年7月31日に失効→令和5年5月~更新申請可能
再度必要書類の提出が必要です。
有効期限の3か月前になったら、手帳更新申請の準備をしましょう
私の取得体験談
- 令和4年1月:心療内科初診
- 令和4年8月:初診日から半年が経過し、主治医に精神障害者保健福祉手帳の診断書を作成してもらった際に、自立支援医療も同時申請(そのため、自立支援医療の診断書は未作成)
- 令和4年9月:自立支援医療受給者証が発行される。有効期間以降の医療費と薬代の3割負担した分を、領収書を持参して1割負担に払い戻ししてもらう。
こんな感じでした。
うつ病はいつまで通院が続くかわからないので、自己負担が1割に軽減されることは、経済的に大きなメリットです。
公的なサポートを活用しながら、病気と付き合っていきましょう。
コメント