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脱愛着と危機基地


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愛着障害

不安定な愛着は、子供の成長を不安定にする

愛着対象に抱きしめてもらうこと、困ったことがあったら愛着対象が受け止めて支えになってくれること…。

愛着対象と安全基地」にあるように、愛着対象が子供に安心感と信頼感を与え、「安全基地」として機能することで、子供が成長していくのが理想です。

しかし、子供が特定の愛着対象との間に、安定した絆を築けなかった場合は、どうなるのでしょうか?

愛着が安定しないと、子供は不安定になります。

不安定な愛着がもたらす影響

愛着が不安定で、安全基地が機能していないと、子供に基本的安心感や信頼感が育ちません。

そうなると、日常生活において、様々な影響が出てきます。

安全基地が機能していない場合
  • 親との関係が険悪になりやすい
  • 親の言いなりになりやすい
  • 人と信頼関係を築くことが難しい
  • 特定の相手との間に、愛情が維持されづらい
  • 人との距離感が掴みづらい
  • 人に対して共感性に欠ける言動がある
  • 傷つきやすい
  • ストレスに弱い
  • 過去に捉われやすい
  • 過剰反応しやすい
  • 全か無か思考になりやすい
  • 全体より部分に捉われやすい
  • 天邪鬼になりやすい(わざと人と違う意見を言ったり、本心とは逆の態度をとったりする)
  • 意地を張ってしまう
  • こだわりがある
  • 発達の問題を生じやすくなる
  • 過食をしてしまう
  • 万引きをしてしまう
  • 子育てに困難を抱えやすい
  • 性的な問題を抱えやすい
  • 仕事が長続きしない

これらの原因を探っていくと、愛着の傷に辿り着く場合も少なくありません。

愛着の不安定さが深刻な状況

愛着が不安定な中でも、深刻な状況が2つ挙げられます。

それは、愛着対象の消失と、愛着対象が脅威となる場合です。

愛着対象の消失~脱愛着と再形成~

愛着対象が亡くなってしまう(死別)、愛着対象が離婚等で離れてしまう(離別)、などが消失です。

どちらの場合も、それまで頼りにしていた愛着対象がいなくなったことで、怒り、悲しみ、不安になります。

しかし、子供は特定の愛着対象を起点として、人との関係を築いていくため、対象が消失してしまったら、新しい愛着対象を見つける必要があります。

そのため、段階を経て、消失した愛着対象からの「脱愛着」を行います。

抵抗の段階
  • 愛着対象の消失を受け入れることができず、愛着対象を探し求める
  • 愛着対象が自分の求めに応じてくれないことに対して、泣き叫ぶなどの行動が見られる
絶望の段階
  • 愛着対象が戻ってこないことがわかり始める
  • 無気力、無関心の傾向が見られる(例:不眠、食欲不振など)
脱愛着の段階
  • 消失した愛着対象の記憶を封印し、新しい愛着対象を受け入れる準備を始める
  • 落ち着きを取り戻し、以前の日常生活と同じような言動が見られる

こうして、新しい愛着対象を受け入れて、絆を再形成し、外界へ出ていこうとするのです。

脱愛着をしてしまうと、消失した愛着対象が戻って来ても、絆の再形成は難しいとされています。

それくらい、絆の形成は繊細なことなのです。

愛着対象が脅威となる

愛着対象から守ってもらえるどころか、虐待を受けるなどの脅威となっている場合があります。

こうなってしまうと、もはや「危機基地」です。

子供は愛着対象を求め、応えてほしいと同時に、自分に危害を加える対象として、恐れるようになります。

愛着対象の気分によって、優しくしてもらえる時もあれば、暴言などを吐かれる時もあります。

子供にとって、愛着対象の言動は予測ができないもので、対処するのは難しいことです。

そして、どんな状況でも愛着対象を求めるため、本来であれば愛着対象を責める場面で、「こうなるのは自分が悪いんだ」など、自分を責めてしまいます。

これが長じて、愛着対象から過度に気に入られようとしたり、愛着対象を困らせたりするような、不安定な成長をしてしまうのです。

まとめ

不安定な愛着は、子供の成長を不安定にする

自分の傾向がどのような由来で発生しているのか、原因がわかると、生きづらさが少しゆるめられると思います。

参考文献はこちら↓

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